この時から、 あたしの心は失った何かを取り戻すために動き出した。 失った藍川との……、紫貴との記憶を取り戻すために。 必死に動き出したんだ。 頭の記憶が消されても、 心は紫貴を忘れたりなんかしないから。 紫貴の痕が残ってる身体は、紫貴を覚えてる。 例え記憶がなくたって あたしは何度でも紫貴を求めて手を伸ばすよ。 ―――だから、そんな悲しそうに見つめないでよ。 ……紫貴。