恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



心の奥にぽっかりと大きく開いている穴。


自分が自分じゃないみたいだ。

誰か、知らない人の身体に、あたしの魂だけが入り込んじゃったみたいに、自分じゃないみたいで気持ちが悪い。



「くるみ、顔色が悪いけど」


頭なのか、それとも胸の奥なのか。

どこからきているのかさえ分からない不快感。


それにぐっと唇を噛んでいた時、藍川が顔を覗き込んできた。


「え、あ、ううん。大丈夫」


ハっとして笑顔を作るけど、藍川の瞳は心配に歪んだまま。


「嘘つくな。くるみの事だったら何でも分か……」

「それより……っ、十字架とか、にんにくとか、藍川は大丈夫なの?」


話題を逸らしたくて聞いた質問。


だけど、話題選びを間違えたかもしれない。

言った本人でもバカバカしいと思う質問を向けられて、藍川は短いため息をつく。