「―――……。」 嗚呼、またこの夢か。 私は目を覚ました。 寝起きは視界が掠れる。 視界の隅に、黒い物体が写った。 目をやってみる。 霧生(キリュウ)だ。 日当たりの良い縁側で、庭に向かって茫然と座っている。 そして、いつもの黒いYシャツに黒いズボンという格好だ。 呑気なもんだ。 私は小さく溜息を吐いた。 .