そう、このときは彼女に対して怖いとか そんな特別な感情はなかった。 わからなかった。 「そんなに安いもんじゃないんだ…」 俺はいつまでも座り込んでいる雨霧の腕を掴んで立ち上がらせる。 そしてそのままその場の空き教室に連れ込んだ。 不安そうに怯える雨霧。 そういう表情を見るとあまり他の生徒とは変わらない。 なのにどうして俺はこの雨霧に…。 俺は彼女の腕をそっと離した。 「あの本は日本円で5万したんだ…」