アタシは先生のそんな言葉がおかしくて笑う。 そんなアタシを見て先生も笑う。 その笑顔は今までの表面上のものではないように思えた。 あの日の夕陽の中で見せてくれた穏やかな表情と。 さっきのアタシへの笑顔と同じ。 やさしくて温かい。 今までの、先生といたときに感じていた辛くて哀しい思いは今はもう微塵もなかった。 少なくともアタシの中では…。 「行こうか?」 「ハイ」 そう答えて歩き出す。