少しの沈黙の後、 「じゃ、俺、帰ります。 ありがとうございました」 そう言って一礼をする。 「ああ、じゃあ」 俺は彼に背を向けて歩き始める。 再び 「ありがとうございました」 と言う彼の声が背中に聞こえる。 礼儀正しい彼はきっと俺が見てなくても頭を下げているのだろう。 俺は振り向くことはせず出席簿を肩まであげて合図をする。 なぜか振り向けない、そう思ったから。