でも。
あのとき彼女を抱きしめることをしなかったら
彼女への想いに気づくこともなく
ただ、苦手な生徒としてそう思っていくだけだっただろう。

それにしても…。

どうしてだろう。

きっと他の女性ならここまで気にかけることなかったのに。



雨霧 葵は17歳の、
一回りも年下のほんの子供なのに。
彼女相手に何もできないでいる。

ただ、避けられていることが辛くて、哀しい。

そう思った。