「ねえ、おい」 声と駆け寄る足音。 声で顔をあげてしまった。 「かぐ、かぐ、らぁ……」 繋がらなかった電話を捨て、やっと見つけた人にすがりつく。 びっくりしたようにたじろった神楽は。 「あー、期待裏切るようでわるいんだけど」 私の手を離させて。 「神楽じゃないんだけど」 片手に下げたビニール袋を鳴らしながら、頭をかいていた。