──side*康也──


『3回表、原ヶ岡高校の攻撃は、7番センター…』


アナウンスが耳に届く。俺は流れ出る汗を拭い、マスクをかぶり直した。


もう3回表。だが、両校の点数には何の変化もない。競って競って競りまくっている。


「ストライクッ!」


永松の球は、好調。いつもよりイキイキしていて、キャッチャーの俺はワクワクしてしまう。


サインを出す。俺が構える。永松がふっと笑う。


「三振!」


賑わうスタンドに胸が高鳴った。予選の決勝とは違う圧力がある。場所のせいかもしれないな。俺もふっと笑った。


「永松、ナイスボール!」


3回表が終わり、永松の元へ駆け寄る。永松はコツンとグローブを当てた。


「それにしても、暑いな」


永松の言葉に後輩達が氷や冷えた飲み物を持ってきた。永松はサンキュといつもの返事を交わした。


確かに…今日は暑い。いったい気温は何度だろう?