「お前そんな情けない奴だったんだな。せっかくさっきは言い過ぎたって謝ろうとしたのに」


永松が冷めた目つきで見る。


「お前と出会ってから初めて、お前と話したくないって思ったよ」


「永ま…」


「とりあえず今日は、シゲさんの両親や監督逹に挨拶して帰るぞ」


「なんで?」


「今日は早く帰って頭を冷やせ。じゃないと、お前は壊れる」


────…


帰りも監督が送ってくれた。車内では誰も何も話さず、ただただ沈黙が続いた。


俺はオーケストラの演奏を聴きながら、窓の外を眺めていた。シゲさんのこと、キャッチャーのこと…そして麻帆のこと。


でも、頭の中はごちゃごちゃしていくばかり。せっかく組み立てたパズルも音を立てて壊れていくだけだった。