「父はそれから、何処の者か分からない女の人を毎日家に招き入れ、毎晩俺は押し入れに閉じ込められていました。…邪魔だったからです。俺という存在が」
女の人…。それが、畝高くんの…陰に関係があるのか。
「そこまでは…良かったんです。俺は、父が女の人を連れ込むのに何も言うつもりもなかったし、特に気にしていなかった。俺の中で、母はあの人だけだということは、絶対に揺るがない事実。それだけでもう俺は、充分幸せだったから」
…なんて優しい人。
畝高くんは、何も望まない、何も欲さない。
それが何よりも代え難い幸せなのだと知っているから。
彼は、そんな人なんだ。



