アイツが歩き出す前、 一瞬だけ見せた笑顔が、 なんだか切なく見えて、 ――ズキン、 胸が痛んだ。 「舞ちゃん…??」 やばっ。 一瞬で我に返る。 あたし、今、先輩がいるの忘れてた…。 「なんかボーっとしてたみたいだけど、大丈夫??」 『あっ大丈夫です!!』 慌てて、笑顔を作る。 そんな風に無理やり笑顔を作ってる自分に、なんだか違和感を覚えて。 でも、どうすることもできなくって。 あたしは先輩の前でただただ笑っていた。