「結果は…いま言います。全員不合格です」




(ぜん…いん…!?)




耳が痛いほどの沈黙がオーデション会場をつつむ。




審査員の立場である近藤監督や松栄動画の社長さんでさえも、彼女の存在感におされて縮こまってるようだった。




(全員って…)




わたしは、今の…まるで女王の宣告のようなひとことにぼう然としてしまった。




赤毛のパーマがかかった、メガネをかけたその女性の前では、わたしたち最終受験者の若者なんて赤ん坊みたいなものだ。




女王の…彼女の芸歴からみればあきらからだった。




5歳のころから子役として舞台にあがり、いまや引退しているテレビ業界の大物たちとも親交がある。そんな女王が今でもゆいいつ取り組んでいるテレビの仕事が、この『みちのけものたち』という人形劇なのだ。




月曜から金曜日、午前中にやるたった15分の番組。外国の絵本が原作の、人気長寿番組だ。




放送開始から15年間、ずっとお茶の間の子どもと大人たちから、支持されている。この場に残ったわたしたちも、みんなこの番組を見て育っている。知らない人なんて日本人でいないんじゃないかな?




それくらいすごい番組の主役の子を演じているのが、この人仲西みつ江さんだった。