「おいっ、コーイチ、それ以上見るな。一応リサは俺の女だからな」
「あ、あぁ……」
いつもなら、そういうふうにからかわれたら、すぐにやり返すのだが、言葉を返すのも忘れてしまう位に見とれてしまっていた。
「見とれてくれるのなら、私達の事も忘れないでよ」
そう言って目の前に現れたのは、ミミとナナの二人組だった。
ミミさんは、宝塚を夢見てた人らしく、男装の麗人といった雰囲気で、ナナちゃんもリサに負けず劣らずのセクシィっぷりだ。
アパートの面々が思い思いに席に着き始めると、それが合図だったかのように人が集まりだした。
肝心のマーサがレナとステージ裏の部屋に篭ってしまったままだから、次々とやって来る客達の対応に、一人でてんやわんやになっていた。
酒と料理だけはたっぷり用意してあったから、取り敢えずマーサが出て来る迄、一杯やってて貰う事にしたが、余りにも遅いので何度目かの催促をしにドアをノックした。



