天国の丘


「ほう、よくそんなもんが見つかったな。うん、いいよ、なかなか良いセンスしてる」

 リュウヤさんが、アパートの住人達を引き連れて入って来た時、丁度僕は天井の照明の角度を変えるのに悪戦苦闘している最中だった。

「リュウヤさん、ぼうと眺めてないで手伝ってよ」

「人使いの荒いライヴハウスだな。今夜の出演者兼プロデューサーの俺様にライトのセッティングまでやらせるのかい?
 やれやれ。ところで、マーサとレナちゃんは?」

「只今ドレスアップ中。それより、随分と遅かったじゃないですか」

「これでも寝てた訳じゃないんだぜ。女性軍が一心不乱に己を美女に仕立て上げるべく鏡に向かって突貫工事を施してる間中、俺は電話を賭けまくってたんだ。お陰で今月のウチの電話代が五倍になっちまった」

「ぼやかないの」

 そう言って現れたリサの姿は、本当にT・Jを天国から引き返させるかも知れないと思えた。

 それ位のセクシィさを見せつけていた。

 身体のラインをこれでもかと強調させたイブニングドレスの背中は大きく割れ、サイドのスリットからスラリと伸びたチョコレート色の太腿が目に眩しい。