男の僕よりマッチョな身体をしたミミさんが、缶ビールで満杯になったクーラーボックスを二つも軽々と持ち、僕は肉がたっぷり入ったビニール袋をマックスにかじられないよう肩に担ぐ羽目になった。
肉の匂いで興奮したマックスは、僕の足元に絡み付いて離れない。
その姿を見てレナが笑う。
梅雨の時期で雨が心配だったけど、幸い昨日、今日と天気は良い。
敷地内のバーベキュー会場に着くと、既に多くの家族やグループが用意をしていた。
僕らは丁度良い木陰を見つけ、その下にバーベキューコンロを設置した。
バーベキュー会場の横では、昨日と同様、バザーが開かれていて、まだ午前中だと言うのにかなりの人手だ。
太陽の下で飲むビールはめちゃくちゃ旨い。
程良いアルコールが、心地良い陽射しと相俟って、皆の気分をハイにする。
突然誰が言ったわけでもないのに、歌が始まった。
宝塚に憧れていたというミミさんの歌い方は、まるでクラシックの声楽家のようで、外見のマッチョさとは裏腹に、それは見事な程に美しいソプラノだった。
アカペラで歌うミミさんに、リュウヤさんがハミングで、リサがユニゾンで声を被せてくる。
木陰の下はあっという間にライヴステージになった。