『高島と、口にはキスしてないのか?』
「…そう、言ってるじゃん。」
『…俺が女とキスするとこ………見たのか?』
やけに静かに響く康平の声。
私は座り込んだまま康平から手を離した。
「少し前から、康平が可愛い子と並んでたって色んな人に聞いてて。
キスするような仲だなんて思わなかったから何も言わなかった。
でも…見たの。
私が誘って断った日、可愛い女の子と…」
ぐっと拳を握り締めて涙を堪える。
―…瞬間、ギュッと抱き締められた。
「なっ…!」
『あれは妹だ。』
「……………はっ?」
瞬時に身を引こうとした私を康平が優しく抱きとめる。
妹と…キス?
「妹…いたっけ。
一人暮らしだし聞いた事、ないよ?
それに、し、シスコ…」
『違う。
あいつはアメリカにいたんだ。
あんまり会わなかったんだが、少し前から急に家に来てあいつ世話してて…。
その、キスした日、帰ってった。
キスもアメリカの挨拶のノリであまり気にしてなかったんだが…。
見られてた、か…。』
こんな彼氏の真実、ありえない…