手を伸ばして触れると、ひやりとした感覚に心地よさと落ち着きを感じた。 所々のおうとつに指を這わせていると、後ろから肩を叩かれ驚愕して振り返る。 そこには指を口元に当てて悪戯っぽく笑う湯川君と、瓶を片手に掲げた武藤、そしておどおどと忙しなく後ろを気にする、友鬼の時に一番最初に僕が捕まえた野田がいた。 上官でなかったことに安堵しつつ、何故ここに? と不思議に思ったのが伝わったのだろう。 湯川君が武藤の持つ瓶を指差しながら言った。 「坂下も眠れないんだろう? 一杯やろうと思ってね」