電報というものを初めて手にした。

 それは、三が日が開けた翌日の午後だった。

 電報の受け取りの為に押印をする間、私の心は不吉な思いで充満していた。

 恐る恐る覗き見る電報の文字。

 小さくてぼやけて見えたが、間違いなくそこには『…シス』とあった。

 老眼鏡を掛け、もう一度読む。



『タツオ シス』



 たったの五文字なのに、私の心を打ち砕くのに充分過ぎるだけの衝撃があった。