千晶の番組編成に横槍が入った大元が、Maiの所属する事務所からの圧力である事は、誰の目にも明らかだった。

 ティーンのファンからだけの人気では先が見えている。

 アイドル予備軍は後ろに嫌という程控えているのだ。


 そういえば、最近やたらと彼女の曲がパワープレイされてたな……


 それだけ事務所もかなり本気でプッシュしている証拠のだろう。

 恐らく、彼女の特番を一本入れてくれと捩込まれたのではないか。局としては、旬の人気アイドル歌手がゲストで出演した方が、数字は取れる。捩込まれたというよりは、寧ろ、局側が積極的だったかも知れない。

 ただ、既に番組編成は組まれていたから、間近な週に特番で組み入れるとなると、手直しをする他ない。

 丁度お誂え向きな番組があった。

 幾らでも手を入れられる番組が。

 固定のリスナーも大事かも知れないが、新たなリスナーの獲得の可能性もある。

 というよりは、Maiの事務所に断った後の影響を考えた。

 大越の言葉が耳に残った。

 あの怒りが、千晶への怒りではない事など、彼女にも充分判っていた。

 やるせなさに、千晶は溜め息を漏らすばかりだった。