だが雀の涙にはかわりない。
私達のような、もう二度と社会に戻れない人間ならいざ知らず、更生資金として手にして社会復帰する者には、余りにも少なさ過ぎる気がする。
見習工の時給など、五円ちょっとだ。一番上の一等工でも三十円ちょっと。
私は、房内での作業をするようになって四年近くになるから、一等工にはなっているけれど、一ヶ月に手にする作業報賞金は五千円前後だ。
手にしたその報賞金を、私は毎月弟に送っている。
最初、ある程度貯まった時点で、被害者へ送金した。
びびたる額ではあったが、私が命を奪った被害者に、幼い子供が居た事を知り、贖罪の意味もあってそうしたのだが、送金した金は、受け取りを拒否されてしまった。
事件当時、まだ四、五歳だった遺児も、送金した頃には高校生になっていたし、今はもう社会人になっている。
受け取りを拒否されたその金を私は唯一の肉親である弟に渡し、何とか遺されたお子さんの為に使って貰いたかったのだが……