「陸にはここにいて貰いたい」


「でも、いいのか、俺がいても?」


 陸が困惑していると、瑞穂が柔らかい口調で云った。


「問題ないんじゃないかしら。石川さんは魔念村出身ではないけれど春樹の友達なんだし、いいんじゃないかしら」


「私もそう思う。だから早く封筒開けようよ」


 鈴音は、早く封筒を開けたくて仕方ない様子である。

 そして章吾は、黒縁眼鏡の真ん中を人差し指で押し上げる仕草をすると、真優と正信を交互に見た。


「真優、正信、封筒開けてもいいか?」


「本当にケムンドウの怒りに触れないかしら……」


「そうだよな……」


 真優と正信は俯いたまま、いいとも駄目とも、どちらとも云えない返事をした。

 すると、鈴音がパイプ椅子から立ち上がった。