俺は気づいていた。 鈴へ対する思いが日に日に強くなっていくのを。 でも、俺はそれを恋だと認めない。 認めたくない。 ふいに忘れていたはずの二年前の出来事がよぎった。 そうだ、あの時、恋をしないって俺は決めたんだ。 俺は、みんなの、 東条 廉だから。 ――俺は、もう一度、心に鍵をかけた。 その日のコンサートは三回も歌詞を間違えてしまった。