俺の視線に気づいたのか、鈴と目があった。 慌てて目をそらす。 胸がドキドキと脈をうつ。 さっきまではなるべく歌に集中して、色んな方向を向いていた。 しかし、今はそれができない。 全神経が鈴にむいていた。 できれば、鈴にはコンサートに来て欲しくなかった。 せっかくきてくれた鈴には悪いが、普段と同じように歌えなくなってしまう。 それに――、 実感したくなかった。 鈴も他の女と同じだということを。