はぁ。 あたしは心のなかでため息をついた。 せっかくのコンサート。 楽しいはずなのに、全然楽しくない。 むしろ、廉が遠い人だということを実感しただけ。 あたしは、 このホールにいる女の子の、 何倍もいるファンの中の、一部なんだ。 きっと廉にとってあたしは、何万人もいるファンのなかの1人にすぎない。 あたしはうちわを振るのも忘れて、廉をボーっとみてた。 なんだか涙で視界が霞んでいた。