「お前、何か凄く見当違いなこと考えてねぇか?」

 え? と首をかしげると、もういい、と頭を抱えて言われた。

「ねぇ、鈴。朝蜘先生のとこ、行かなくてもいいの?」

「今から行っても、すぐ授業始まっちまうだろ。昼休みとかでいいんじゃねぇの」

 そう言われてみれば、そうか。

 私って、いつも考えが足りないな、と香里は反省する。

 朝蜘先生は鈴に何の用があるんだろう。

 鈴が何か悪いことでもしたのかな。

 考えたことを鈴に聞く前に、一時間目の先生が教室に入ってきた。

 揚羽に寄っていた人たちが、あっという間に自分の席に戻っていく。

 揚羽は教科書を見せてもらうために香里の席に机を寄せてきて、香里はやはり、ちょっと緊張した。