【陽介side】


バイトの合間の麻紀との甘い時間を中断されて、俺はちょっと不機嫌になった。

麻紀が対応した、いかにも上品ぶった黒ぶちメガネのスーツ野郎を厨房の方から睨んでいた。


が、麻紀が、小さな紙を持って、俺のところへきた。

「陽介に話があるって、あの人が・・・・」


俺の顔を見てすぐ
黒ぶちメガネ野郎に視線を移す。


俺に話?!
俺、あんなイケ好かないヤツ、知らねぇ・・・


麻紀が俺に渡した小さな紙には、


”円山製菓”の会社名と、黒ぶちメガネの人物の名前が書いてある。


全然知らねぇ・・・
あの円山製菓に知り合いなんていねぇし・・・


一言文句を言おうと思い、

黒ぶちメガネのところまで向かった。


麻紀が心配そうに俺の行動を見てるのがわかる。


「あの、一体何の御用でしょうか?!」


怪訝そうに俺は、そいつの顔を見た。


「奥田陽介さんですね、
奥田美智代さんの息子さん。」


俺の強い視線には臆することなく、母親の名前を口にした。