意外な言葉に、チャーリーは、立ち止まった。

だから、止めることができなかった。

ルイが素早く、ルイ自身の手首をナイフで切り裂くことを。


「ルイっ!」

「近づかないで、ください」


ルイの伸ばした手首から、鮮血が大量に、流れ落ちる。
近寄りかけ、血の匂いに混じる異臭に、チャーリーは、気づいた。

この、匂いは。


「ルイ、まさか……」

「わかりましたか?教会は、私の血の中に、聖水を混ぜたんです。あなたが私の血を飲めば、滅ぶようにね」


ルイが、苦しげに、微笑む。
近づこうとするチャーリーを、後ずさって、避けた。


「だめですよ。チャーリー。だから、私に触れないでください」