いつか、離れていくかもしれない。

そんな不安が、いつの間にか頭ん中に居座っていて、事ある度に主張してくる。


それは、きっと母親との事が根底にあるんだろうけど、でも、今までこんな風に感じた事はなかった。


……誰かをここまで大切に想った事もなかったから。




手の中にある寮の新しい鍵。

それを見つめてから、目を伏せた。



これは心配症からくるものなのか……。


それとも……、

市川を、俺の目の届く檻に閉じ込めたいだけなのか―――……。