甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「普通に話してただけじゃん」

「教師だからって、生徒のプライベート聞き出したりすんのはよくないだろ。

それに……市川の言葉に対してのおまえの返し方には問題がある」

「問題って?」

「市川はこの数年間、ずっと家の事で悩んできて、去年ようやく父親と和解した。

やっと乗り越えて、さっきみたいに答えたのに……それに対してのおまえの言葉はおかしい。

大切に育てられたからって、悩みがないとでも思ってんのか?

施設で育てられたから他のヤツより悩みが多いって?

自分の生い立ちと比べて生徒を判断するな。それぞれに悩みだとかがあって必死に悩んでんのに、それに大きいも小さいもないだろ」


先生の言葉に、坂口先生は口を閉じたままだった。


「あの、あたし気にしてな……、」


悔しそうにも取れる坂口先生の表情が気になって、気にしてない事を伝えようとした時―――……。


……~♪


メールの着信音が鳴った。