「普通に話してただけじゃん」
「教師だからって、生徒のプライベート聞き出したりすんのはよくないだろ。
それに……市川の言葉に対してのおまえの返し方には問題がある」
「問題って?」
「市川はこの数年間、ずっと家の事で悩んできて、去年ようやく父親と和解した。
やっと乗り越えて、さっきみたいに答えたのに……それに対してのおまえの言葉はおかしい。
大切に育てられたからって、悩みがないとでも思ってんのか?
施設で育てられたから他のヤツより悩みが多いって?
自分の生い立ちと比べて生徒を判断するな。それぞれに悩みだとかがあって必死に悩んでんのに、それに大きいも小さいもないだろ」
先生の言葉に、坂口先生は口を閉じたままだった。
「あの、あたし気にしてな……、」
悔しそうにも取れる坂口先生の表情が気になって、気にしてない事を伝えようとした時―――……。
……~♪
メールの着信音が鳴った。



