甘い魔法②―先生とあたしの恋―



 ※※※


「……は?」


翌朝5時40。

ベッドの中で目を覚ました俺は、目の前に広がる光景に眉を潜めた。



……いや。待て。


目の前には気持ちよさそうに眠る市川の姿。

そして同じベットに横になっていた自分。


「……」


同じベットで寝て、自分が何もしないなんてまず考えられない。

信じられない光景に、片手で頭を抱える。



くそ……覚えてねぇ。

記憶を辿っても、市川にキスをしたところまでしか記録されていない。

その後自分が何をしたのか、全く覚えていない。

……何度考え直しても。


心からのため息を吐き出しながら、頭を抱えていた手をゆっくりと下ろして、視線を市川へと移す。

すやすやと眠る市川に手を伸ばして、その手で頭を撫でた。


起きる様子を見せない市川に、不安は募るばかり。