立ち上がった諒子に、外まで見送ろうと立ち上がる。
部屋のドアに向かう諒子に続きながらお礼を言うと、ドアの前で諒子に止められた。
「……なに?」
「ここでいいや。今日の今日だし、なるべく部屋にいた方が安全なんじゃない?」
「え、そこまで大げさに考えても……」
「いいから。とにかくここで。また明日ね」
「うん……」
なんだか強引に押し切られて、仕方なく部屋の中から諒子を見送った。
諒子は勢いよくドアを閉めると、そのままの勢いで階段を下りていく。
音だけが響いてきて、一人残された部屋で小さくため息をついた。
「大げさだなー……」
諒子の足音は階段を下りたところで一度止まる。
そして、しばらくすると諒子とは別の足音が、やっぱり急いで階段を上がってきた。
その足音は、あたしの部屋の前に着くと止まる事なくドアを開けた。



