甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「でも、そのうち挨拶は行くから」

「挨拶って……え、うちに? なんの挨拶?!」

「『結婚を前提に実姫さんとお付き合いさせて下さい』って挨拶」

「えっ」


驚いたあたしを見て、先生は難しそうな顔をして言う。


「だって、いきなり『結婚させて下さい』って行くよりはいいだろ。

俺と市川の関係は特殊だし、親父さんも俺の事知ってるし。

学校が違えばまた対応も違ったかもしれないけど……、急に行くのはよくないと思って」

「だけど……、結婚とかって……」

「市川へのプロポーズの方が先だって事?」

「違っ……」


一気に顔が熱を持ったのが分かった。


慌てて否定して顔を上げると、先生は微笑んだ後座っていた椅子から立ち上がって、あたしに近づく。


そして目の前まで来ると、真剣な眼差しをする。

ドキっとして、思わず声を奪われた。