「市川がひとり暮らしする気なら、一緒に住ませてやってもいいって意味」
「……」
「ま、親父さんが許すわけないけど」
ドキっとした胸が、最後に付け足された言葉に冷静さを取り戻す。
確かに、お父さんが許すわけない。
「……だね」
「だから、最初は遊びに来る程度だろうけど、その時のために合鍵。
俺がいない時でも勝手に入っていいから。
散らかさないって約束するなら、多少物置いてもいいし」
「なんか……、彼女みたい」
そう呟くと、先生が「今さらだろ」って笑う。
だけど、そんな風に当たり前に先生の部屋に寄れるとか、自分の物を置いちゃうとか。
普通の恋人同士みたいな事が、すごく嬉しくて素直にそう思った。
本当に彼女でいいんだって。
「ありがとう」、そう言おうとした時、先生がびっくりするような事を言い出す。



