微笑みながらアルコールの入ったグラスを口に運ぶと、昌じぃはそれを眺めながら真面目に言う。


「おまえは……周りに無関心な分、気に入ったモノには異常な執着を見せる。

周りが見えなくなる。

教師になってからは、周りにも多少興味を持ってきたみたいだが……執着の強さは変わらないだろ?」

「よく見てんだな、さすが校長」

「施設で育った子は、みんな子供みたいなものだからな。

自分の子の性質くらい嫌でも気付くだろ」

「子供、ね。そういえば、里子さん元気?」


里子さんは、昌じぃの奥さんであって、今は昌じぃに代わって施設の学園長を務めている人。

昌じぃと同じくらい熱意のある人で、何より人が好きなのが伝わってくる。


「元気だよ。おまえの事心配してた。連絡ぐらいしてやってくれ」

「ああ。そのうちするよ」


グラスを置きながら言うと、昌じぃはバーに置いてあるボトルを眺めながら話し出す。