甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「そういう事だからさ、岡田。

おまえは諦めて帰れって」


様子を見かねて、岡田くんの肩を叩く和馬。

だけど、視線を上げた岡田くんは、和馬じゃなくて、あたしを見た。


「分かりました。

―――でも、先輩。先輩のしてる恋愛、楽しいですか?」

「……え?」


突然の疑問に眉をしかめると、岡田くんは穏やかな口調で諭すように続ける。


「先輩見てても、全然楽しそうに見えないんです。

いっつも、何か張り詰めてるように見えて……必死すぎて、楽しそうじゃないんです。


俺には、今、先輩が幸せには見えません。

だから、余計に諦めたくないって思ったのかもれません」


言い返そうとした時。

岡田くんと和馬のうしろにいる人影に気づいて、言葉を止めた。


暗くなった空の下、寮から漏れる明かりに照らされた、先生の姿が見えた。