結構大胆な告白をしてくるくせに、話しかけるだけで、どこかに誘われたりもしなかったし、校外では話した事もない。
ケータイだって聞かれないし。
岡田くんは、自分の決めた範囲内で頑張ろうとしてたんだ……。
意外にも気を使われていた事に気付いて、ちょっとだけ罪悪感が浮かぶ。
「あの……あたしの彼氏、すっごく嫉妬深くて……。
そういうの、ものすごく気にするタイプなんだ。
それに、いくら彼氏が校内にいないからって、その間にあたしに好意を持ってくれてる岡田くんと話したりするのって、なんだか騙してるみたいで嫌だし……」
「騙してるって……、彼氏を?」
岡田くんの言葉に、首を振る。
「どっちも。彼氏も……岡田くんも。
岡田くんがただの後輩なら問題ないけど、あたしの事好きでいてくれるのを知っててそういう事はしたくない。
少しも期待して欲しくない。……岡田くんのためにも、彼氏のためにも」
そこまで言うと、岡田くんの表情が少し陰る。
いつも笑顔ばかりを見せている岡田くんが、初めて見せる顔。
傷付けたのかと思うと、謝りたくなるけど……でも。
誰よりも傷付けたくない人がいるから。
ただ、黙ってその様子を見ているしかできなかった。



