そんな雰囲気を察していないのか、察していてわざとなのか。
先生は軽く笑って秋穂ちゃんのシワの寄っているおでこを弾いた。
「思春期真っ盛りだなー。
まぁ、年齢的には……どうなんだろうな。俺、今年で25だし」
「だってこの人はいいんでしょ?!」
食いつくような返しに、先生は尚も余裕を見せる。
その様子に、あたしはハラハラしながらも見守ることしかできない。
それは、隣にいる里子さんも同じみたいだった。
「そりゃ、こいつは特別だろ。年齢云々考えてる隙なんかなかったし。
そう言われてみれば、おまえも秋穂と似たか寄ったかの歳だったよな。すっかり忘れてた」
あたしに笑顔を見せる先生に気付くも、秋穂ちゃんの表情が気になって何も返せなかった。
あたしを険しい瞳で睨みつけるから、目が逸らせない。
「……秋穂。市川睨むの止めてくんねぇ?」
あたしの表情から察した先生がため息混じりに言うも、秋穂ちゃんの目はあたしを捕らえたままだった。



