甘い魔法②―先生とあたしの恋―



そんな雰囲気を察していないのか、察していてわざとなのか。

先生は軽く笑って秋穂ちゃんのシワの寄っているおでこを弾いた。


「思春期真っ盛りだなー。

まぁ、年齢的には……どうなんだろうな。俺、今年で25だし」

「だってこの人はいいんでしょ?!」


食いつくような返しに、先生は尚も余裕を見せる。

その様子に、あたしはハラハラしながらも見守ることしかできない。

それは、隣にいる里子さんも同じみたいだった。


「そりゃ、こいつは特別だろ。年齢云々考えてる隙なんかなかったし。

そう言われてみれば、おまえも秋穂と似たか寄ったかの歳だったよな。すっかり忘れてた」


あたしに笑顔を見せる先生に気付くも、秋穂ちゃんの表情が気になって何も返せなかった。

あたしを険しい瞳で睨みつけるから、目が逸らせない。


「……秋穂。市川睨むの止めてくんねぇ?」


あたしの表情から察した先生がため息混じりに言うも、秋穂ちゃんの目はあたしを捕らえたままだった。