「林檎うさぎって、恋愛のシンボル的なキャラなんだって。
だから、お守り代わりに持つ感じらしいんだけど。
俺のには、『続く恋』って書いてあるけど、『運命的な恋』とか『情熱的な恋』とか色々種類があるんだよ。
で、自分に当てはまるのを選んで持ち歩く、みたいな感じ」
指先で林檎うさぎを回す澤田が、嬉しそうに説明する。
その理由は、澤田の持っている水色の林檎うさぎが物語ってた。
『続く恋』
きっと、小林と一緒に買ったんだな。
「それ、黄緑のは何て書いてあるか知ってるか?」
市川が必死に隠した願い事が知りたくて聞いたけど、澤田は首を傾げて難しい顔を浮かべるだけだった。
「黄緑ー? 黄色だったら『幸せな恋』だったけど……黄緑はあんま人気ねぇし分かんねぇなー。
なんで?」
「いや、持ってる生徒がいた気がしたから。
誰だか忘れたけど」
「ふーん」
大して興味もなかった様子の澤田は、それっきりしばらく黙ってた。
そして、勢い良く顔を上げたと思ったら、そのまま俺を見る。



