甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「林檎うさぎって、恋愛のシンボル的なキャラなんだって。

だから、お守り代わりに持つ感じらしいんだけど。

俺のには、『続く恋』って書いてあるけど、『運命的な恋』とか『情熱的な恋』とか色々種類があるんだよ。

で、自分に当てはまるのを選んで持ち歩く、みたいな感じ」


指先で林檎うさぎを回す澤田が、嬉しそうに説明する。

その理由は、澤田の持っている水色の林檎うさぎが物語ってた。


『続く恋』

きっと、小林と一緒に買ったんだな。


「それ、黄緑のは何て書いてあるか知ってるか?」


市川が必死に隠した願い事が知りたくて聞いたけど、澤田は首を傾げて難しい顔を浮かべるだけだった。


「黄緑ー? 黄色だったら『幸せな恋』だったけど……黄緑はあんま人気ねぇし分かんねぇなー。

なんで?」

「いや、持ってる生徒がいた気がしたから。

誰だか忘れたけど」

「ふーん」


大して興味もなかった様子の澤田は、それっきりしばらく黙ってた。

そして、勢い良く顔を上げたと思ったら、そのまま俺を見る。