甘い魔法②―先生とあたしの恋―



あたしの左手を、先生の手が壁に押し付ける。

右側は、壁についた先生の手が塞いでいる。


ノートの散らばった音にドキドキしていた心臓。

やっと理解した今の状況に、鼓動がまた少し速度を上げた。


「せ、先生っ……ここ、学校―――……」


そう言いかけて見上げた先にいたのは―――……。

今まで見た事のないような顔をした先生だった。


本当に無表情で……。

それは冷酷に見えるほどに、何の感情も映し出していないのに。


……なのに、つらそうに見えて仕方ない。


あまりに苦しそうに見える先生。

胸が刺されたように、鋭い痛みが身体中に走った。


動揺して瞳を揺らすあたしをじっと見据えた先生は、表情を変える事なく聞く。


「―――あいつに告白されたんだ?」


静かな声が床に落ちる。

感情を持たない声は、不自然にあたしの耳に届いた。