甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「いえ。たまたま見かけちゃったら話したくなっちゃって」

「……岡田くん、悪いんだけど急いで……」

「あっ! ストップ!

……こないだの事なら、ちゃんと覚えてます。

先輩には好きな人がいて、俺の気持ちには応えられないってちゃんと分かってます」

「……」


じゃあなんで。

しかも、なんか勘違いしてるし。

急いでるからって会話を切り上げようとしたのに、変な事言い出さないで欲しい。


先生と一緒の時にそんな事言わないで欲しい……。


隣で聞いている先生が気になって、そっとその表情を見上げる。

先生は無表情のまま、岡田くんが続ける言葉を待っていた。


感情をしまい込んだような、冷たい横顔が、あたしの感情を波立たせる。


「……―――でも、俺、やっぱり諦めません」


そう言われて、瞬時に岡田くんに視線を移した。

顔をしかめたあたしに、岡田くんはなおも笑顔のまま続ける。


先生が隣にいるのに、そんなの気にならないみたいに笑顔で言う。