甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「科学学習室に呼び出されてたんですけど、まさかこんなとこで会えるなんて思ってなかったです。

北校舎って人が全然いなくてちょっと怖かったけど、これでチャラっす。

……って、あれ。もしかしてまた、忘れられてます?」

「……」


どう答えればいいだろ。

先生の前だし、忘れてたって事にしておいた方がいいのかな……。

全然気にも止めてなかったみたいに伝わるし、先生にとっても岡田くんにとっても、忘れた振りをした方がいいのかもしれない。

けど、告白もどきみたいな事までされといて、それを忘れるっていうのはあまりに失礼……。


唸り声が出そうなほど頭を悩ませた後、あたしは首を横に振った。

岡田くんを忘れた振りするなんて、やっぱり人として出来ない。

岡田くんは何も悪くないんだから。


「岡田くん……何か用?」


だけど、態度は自然と冷たくなってしまう自分に気付いて、岡田くんの表情をちらっと見上げる。

傷付いてたらどうしよう、なんて思って……少しだけ気になった。


でも、岡田くんはそんなあたしに気付くと、にこりと爽やかな笑顔を向けた。