「科学学習室に呼び出されてたんですけど、まさかこんなとこで会えるなんて思ってなかったです。
北校舎って人が全然いなくてちょっと怖かったけど、これでチャラっす。
……って、あれ。もしかしてまた、忘れられてます?」
「……」
どう答えればいいだろ。
先生の前だし、忘れてたって事にしておいた方がいいのかな……。
全然気にも止めてなかったみたいに伝わるし、先生にとっても岡田くんにとっても、忘れた振りをした方がいいのかもしれない。
けど、告白もどきみたいな事までされといて、それを忘れるっていうのはあまりに失礼……。
唸り声が出そうなほど頭を悩ませた後、あたしは首を横に振った。
岡田くんを忘れた振りするなんて、やっぱり人として出来ない。
岡田くんは何も悪くないんだから。
「岡田くん……何か用?」
だけど、態度は自然と冷たくなってしまう自分に気付いて、岡田くんの表情をちらっと見上げる。
傷付いてたらどうしよう、なんて思って……少しだけ気になった。
でも、岡田くんはそんなあたしに気付くと、にこりと爽やかな笑顔を向けた。



