「先生っ、あたし全然持っていけるからっ」
「いいよ。俺も授業行くし、ついでに手伝ってやるよ。
大体、俺一人で運ぶんじゃ大変だと思ったから手伝わせる為に週番呼んだんだし。
男子だったら全部持たせてやろうと思ってたけど、女子生徒に全部持たせるほどスパルタでもねぇし」
「でもっ……あの、」
「ほら。変な遠慮してねぇで行くぞ」
視線を移せば、先生はスタスタと歩いてドアから出て行ってしまうところで……。
あたしは胸に抱けるほどに軽くなった手元のノートを抱き締めて、先生の後を追った。
そして、先生の後ろにつきながら、ぶつぶつと自分に言い聞かせる。
「先生は、誰が相手でもきっとこうして手伝ってくれてるし。
断じてあたしが特別なんて事は絶対にないから、問題なんてない……うん」
「……おまえ、何一人でぶつぶつ言ってんだよ」
眉を潜めながら顔半分振り向いた先生に首を振る。
「2時間目の古文の復習……」
「高遠か」
「うん。そう……です」



