甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「これ、先週集めたノート。と、新しい問題集なんだけど……教室まで持ってけるか?」

「多分大丈夫」


ノートだけだったら楽勝だけど……。

新しい問題集は、1冊1センチはある厚さで結構な重さがありそうだった。

3年に上がった途端、大学受験のためにだか、各教科問題集なり参考書が増えてかなり迷惑。

学校の敷地内に家がある事にこれほど感謝したのは初めてかもしれない。


テスト期間、あの量の問題集や参考書を持ち帰ったりするなんて、想像しただけで肩がこりそう。


とりあえず、ノートの上に問題集を重ねてみると、計100冊近くなったそれは50センチほどの高さに積み上がった。


なんとか前は見えるし、重さも……まぁ、教室までならいけると判断して先生に背中を向けた時。

急に手元が軽くなった。


「危なっかしい奴だな」


横を見上げれば、あたしの持っていた問題集を持つ先生の姿。

困り顔で微笑む先生に、あたしは慌てて口を開く。