「ほら、口開けろ」
「……」
やっぱり……、と思いながらも、少し恥ずかしくなる。
啓太と付き合ってる時も少し特殊な関係だったし、先生と付き合ってからも、そこまで恋人らしくいちゃついたりってしてないから……。
こういうのってすごく恥ずかしい。
……って、先生は、あたしがそう感じてるのを分かりながらやってるんだろうけど。
余裕の笑みが憎たらしくて、先生の意地悪な態度にまた口を尖らせる。
「先生って絶対意地悪いよ。
あたしの反応見て楽しんでるとしか思えない」
「なんでだよ。ただチョコ食べさせようとしてるだけだろ?
……意地は悪いかもしれないけど」
「やっぱり悪いんじゃん。変態。
大体、チョコってなんか……」
先生が認めた事で気が抜けたのか、思わず口走ってしまった言葉。
それに気付いて、慌てて言葉をとぎる。
それは、こんな発言したら絶対に先生にからかわれるって思ったからだったけど……。
勘のいい先生は、あたしが言いかけた言葉だけでその先が分かったみたいだった。
釣り上げられた口端がそれを教えてる。



