甘い魔法②―先生とあたしの恋―



『それ、なんにでも効くから』


そう言われて渡された飴は、写真に収めてから舐めたっけ。

そんな事があっただけに、今年は絶対にちゃんとあげなくちゃとは思ってたんだけど……。


先生は満足そうに笑って、箱から出したチョコを一粒差し出す。


「全然。迷惑なわけないだろ」

「そっか」

「けど、両手で収まるサイズにしとけよ」


先生の冗談に笑ってから答える。


「じゃあ板チョコにする。ちょうど両手に収まるサイズだし」


先生の冗談に便乗したところで、先生は笑いを吐き出した。


こういう笑顔を見ていると、嬉しくなる。

何も不安を感じていない、素の笑顔。

学校のみんなは知らない、笑顔―――……。



じっと見つめていると、先生は思い出したように指先のチョコをあたしの口許に差し出した。

戸惑って先生と視線を合わせば、表情はまだ笑顔を浮かべたまま……。