甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「なんでもって……」

「すっげぇわがままだろうが、甘ったれだろうが、男勝りだろうが……。

どんなムカつく性格でも、市川だっていう理由だけで許せる」

「……すごいわがままでも甘ったれでも男勝りでもないけど」


先生のストレート過ぎる言葉への動揺を隠して、わざと反抗的な言葉を言う。

だけど、先生はそんなあたしの態度に文句も言わずに、座るように促した。


あたしを甘やかすのもそうだけど、最近はこういう奥歯がむず痒くなる言葉も度を超してる。

……気がする。


「最近は男も甘いモン食べたりするらしいな。

コンビニに『男スイーツ』とかいうコーナーが出来てた」


先生が、あたしから受け取ったチョコの箱を開けながら笑う。


「みたいだね。でも、別に男だからダメって訳でもないし。

甘いモノは女の子のモノみたいな、変な定着がおかしいのかも。

和馬も甘いの好きだし」

「へぇ。でもあいつサッカーやってるし、糖分とっとかねぇとあんなに走れないしな」

「んー……まぁそうみたい。

今年はバレンタインにもねだられなさそうだし、よかったけど」


何気なく言った言葉に、先生は少しだけ真面目な顔をする。

そして、手元のチョコに視線を合わせたまま、あたしに聞く。