「伝える気もないけどな」
後悔して……、俺と市川が選ぼうとしない答えを、選ぼうとしてる。
「……だから、わざと嫌われようとしてるんだ?」
嫌われるように仕組んで、小林から別れを切り出させて、小林に新しい道を開かせるために。
きっとそれは、自分から別れを告げるより小林自身が決めた方が、後々引きずらないから。
全部は、小林を想っての事。
「……俺は、矢野みたいになんでも器用にはこなせないからな。
あいつの事を考えたら……こうするのが一番だと思った」
別に俺が器用なわけじゃない。
ただ、関係を守るのに必死なだけ……。
自分の気持ちが強すぎて、他の選択肢が浮かばないだけで。
高遠よりもずっと不器用で自分勝手な気持ち。
呆れてため息をつきながら、わざと笑って高遠の肩を叩く。



