甘い魔法②―先生とあたしの恋―



「伝える気もないけどな」


後悔して……、俺と市川が選ぼうとしない答えを、選ぼうとしてる。


「……だから、わざと嫌われようとしてるんだ?」


嫌われるように仕組んで、小林から別れを切り出させて、小林に新しい道を開かせるために。

きっとそれは、自分から別れを告げるより小林自身が決めた方が、後々引きずらないから。

全部は、小林を想っての事。


「……俺は、矢野みたいになんでも器用にはこなせないからな。

あいつの事を考えたら……こうするのが一番だと思った」


別に俺が器用なわけじゃない。

ただ、関係を守るのに必死なだけ……。


自分の気持ちが強すぎて、他の選択肢が浮かばないだけで。


高遠よりもずっと不器用で自分勝手な気持ち。

呆れてため息をつきながら、わざと笑って高遠の肩を叩く。