「今さら出てくんなよ……」 俺の事を捨てたくせに。 いらない存在だって、自分の中から俺の存在を消したくせに。 “実の母親にさえ消された存在” そんなレッテルが心のどこかに張り付いたまま剥がせなくて、俺ん中をどす黒い感情で覆っていく。 それはどんどんでかくなっていって、留まる事を知らずに、俺の中に充満していって……。 代わりに、市川に対して許せる事が減っていく。 想いのでかさと比例するように。 想えば想うほど……、苦しさが増していく。