だけど、それにしてもやけに静かで。

沈んだ表情が珍しくてじっと見つめていると、それに気付いた坂口先生はふっと笑った。


「俺もね、頭痛持ちなんだよね。親に捨てられてからずっと」

「え……」

「やっぱりさ、子供の頭だとか身体じゃ、色々耐え切れないモンとかもあるんだよね。

そういうのが不調として身体に出て……、でも保健の先生にはそれを分かってもらえなくて」

「保健の先生って……?」

「俺が通ってた学校の保健の先生。ごっつい男の先生でさ、『仮病だろ』って言い張る先生といっつも怒鳴り合いになってたよ。

身体と同じで声まで大きかったから頭に響くし。頭痛だっつってんのに勘弁して欲しいよね」


そう言って笑った顔が寂しそうに見えて答えに迷っていると、坂口先生はそんなあたしに「はい」と、水の入ったコップを差し出す。


「ありがとうございます……」


結局何も言えずにお礼だけ言って薬を飲み込む。


「大丈夫?」なんて聞きながらコップを受け取ってくれる坂口先生。

またお礼を言ってから、グランドに戻る事になった。